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「瀬戸本業窯 展」、盛会御礼。

水曜日, 11月 8th, 2017


染付石皿尺一寸柳紋(径35cm高5cm)

「瀬戸本業窯 展」は2週続けて土日に台風が接近するという前代未聞の事態でした。
最初の二日間は次期窯主の雄介さんが在店してくださっていたし、
出品物の質も量も申し分なかっただけに、とても悔やまれるタイミングとなってしまいました。

奥さん曰く、雄介さんはかなりの雨男。
それにしても2週続けて台風は勘弁してほしかったです。
特に二日目の雨風はひどかった…店の横に並ぶ柳も大暴れしていました。

ただそんな中お越しくださったお客様には雄介さんとゆっくりお話して頂くことができました。
私もほほぅと思うようなお話をたくさん聞けて楽しかったです。

第二回も是非に、と言って頂けましたのでそれに向けてしっかり常設での紹介を続けて参ります。
今度はいろいろお願いしてみたいとも思っています。

ご来店、お問い合わせくださったすべてのお客様に御礼申し上げます。
ありがとう御座いました。


常設に戻りましたが引き続き、多めに並べています。

会期は終わりましたが、いいものがいっぱい来たのでたくさん残しました。
しばらくは店頭から瀬戸本業窯のうつわが姿を消すことはなさそうです。

売り場を広めにとっていますが並べられていないモノもけっこうあります。
ブログやインスタグラムで気になったものがありましたらお気軽にお尋ねください。
在庫置き場から出てくるかもしれません。


店内をざっくりと。

夏前からイベントごとが続いてなかなか常設にゆっくり取り組むことができませんでした。
長期休業の際に仕入れたもの、HPEの新着、他の新着もじわじわ並び始めて店内充実しています。

尚、今月は久しぶりに常設だけの月になります。
9月に作品展をしたHPEの品々をブログでゆっくりご紹介していきたいと思っています。
ご期待くださいませ。

12月は仁城逸景さんの作品展です。
お正月にピッタリのもの、気楽に普段づかいにしたくなるもの、いろいろ並ぶかと思います。
そちらもご期待くださいませ。

よろしくお願いいたします。

「瀬戸本業窯 展」から、線彫り

日曜日, 10月 29th, 2017


伊羅保櫛紋皿尺(径29.5cm高5.5cm)


ズーム

今日は線彫りで絵や文様が描かれているお皿を紹介します。
上の伊羅保櫛紋皿尺のように品名に櫛描とあれば、それはすべて櫛で描かれています。

ちなみに伊羅保釉は黄瀬戸のガラス質を薄めた釉薬で、所々ざらつきのある質感になります。
薄くかかったり良く焼けると櫛描の跡が生々しく感じられるほどマットな仕上がりになります。
今展への出品は少なめでしたがこの伊羅保釉もお客様の目を惹いていました。

少し太めの線は釘で描かれています。
櫛彫と釘彫、両方を組み合わせているものも御座います。
すぐ下にご紹介する石皿7寸の柳紋や本記事で一番最後にご紹介する行灯皿の柳紋がそうです。


石皿7寸 柳紋(径21.5cm高3.5cm) ※ご売約御礼


石皿8寸 抽象紋(径24.5cm高4cm)


石皿8寸 蕪紋(径25cm高4.5cm)


石皿9寸 矢車紋(径27.5cm高4.8cm)


石皿9寸 菊紋(径27cm高4.5cm)


ズーム


菊紋鉢(小:径13cm高4.5cm、中:径15cm高5cm、大:径17cm高6cm)


黄瀬戸櫛紋皿7.5寸(ともに径22.5cm高4.8cm) ※右、ご売約御礼


ズーム

続けてご紹介したものは黄瀬戸のものですが、強いもの、穏やかなもの、様々です。
釉の濃さ(ガラス質の厚さ)と線彫りの深さのバランスの違いでけっこう印象が変わってきます。

柳紋の石皿7寸と最後の櫛紋皿7.5寸2点は線彫りが弱めで釉薬も薄く、特に優しい印象です。
8寸9寸の石皿はどれもハッキリとした線彫の調子、過不足なく掛けられた釉薬、抜群の焼き上がり。
隙がないといった感じです。


黄瀬戸櫛文皿7.5寸(飴・青ともに径22.5cm高5cm)


折縁黄瀬戸緑釉波文皿(径27cm高5.5cm)


ズーム


二彩櫛文大鉢(径31cm高6cm)

色が入るとまた雰囲気が変わります。
釉が止まったり流れにリズムを付けるアクセントになっている様もよく、
波紋との相性は抜群です。

しかしなんだかんだ、やはりここでも黄瀬戸そのものの美しさにかなり目が奪われます。
こうした装飾の幅は黄瀬戸という優れた素材が大いに許しているように感じました。


緑釉柳文行灯大皿(径31.8cm高3.5cm)

さて「瀬戸本業窯 展」、明日が最終日となりました。
今展のブログの更新は今回で最後となります。

数・種類ともたくさん送ってくださったのでこちらも負けてたまるかと、
むきになって二日目から毎日更新しました。
連日お付き合いくださった方がいらっしゃいましたら心から感謝申し上げます。

お問い合わせがここ数日で増え始めました。
ありがとう御座います。

まだ間に合います。
お悩みのものが御座いましたら CONTACTページ よりどうぞご連絡ください。

よろしくお願いいたします。

「瀬戸本業窯 展」から、牡丹刷毛

土曜日, 10月 28th, 2017


牡丹刷毛蓋物(小:径9.5cm高9cm、大:径15.5cm高12.3cm)

古道具を扱っているとこの意匠の大きな蓋ものを度々見かけます。
大きさは様々ですが上の画像の右より優に大きく、倍くらいあるものもあります。
主に食籠として使われたのだろうと思います。

ただ人々の暮らしぶりの変化、好みの変化の中で淘汰されてしまったのでしょうか、
昭和中期頃からこの手のものは作られなくなったそうです。

ですが瀬戸本業窯がここ数年取り組んでいる古作の見直しなかで引っかかり、
この牡丹刷毛も今の暮らしにあったサイズになって再登場しています。

なかでもお皿は当店としても好みのものが多くこれまでにも何度かご紹介してきました。
入荷の度にご好評いただいております。

刷毛の模様はひとつひとつけっこう違いますのでご来店の際はじっくりお選びください。
お問い合わせの際も画像をご用意しますので、お気軽にお申し付けくださいませ。


牡丹刷毛ご飯茶碗(小:径12cm高6cm、大:径13.5cm高6.5cm)


牡丹刷毛湯呑み(径8cm高6.5cm)


牡丹刷毛筒(径9cm高11.8cm)


牡丹刷毛皿その1(6寸:径20cm高3.8cm、7寸:径22.5cm高5cm)


牡丹刷毛皿その2(6寸:径20cm高3.8cm、7寸:径22.5cm高5cm)


牡丹刷毛皿その3(6寸:径20cm高3.8cm、7寸:径22.5cm高5cm)※6寸完売御礼

染付について書いた前回ブログ記事で、瀬戸の土の特徴としてその白さについてふれました。
ただこの牡丹刷毛は瀬戸特有の技法ですが、その瀬戸の土の白さを潰しているから不思議です。
白い陶土にわざわざ黒化粧をしてその上に刷毛で白を施す、といった順序になるのです。

刷毛の跡を模様にしたものは様々な産地で作られています。
もしかしたらある職人がどこかで見た刷毛を再現してみたくてやってみた、
そしたらうっかりそれが流行った。
そんなことが瀬戸での始まりかもしれません。

想像に過ぎず真相は分かりませんがつくづくなぜ瀬戸でこれがと思わされるし、
こんな素敵な意匠をよくぞやってくれましたありがとうと言いたくもなります。


牡丹刷毛蓋物 特大(径17cm高16.5cm)


ズーム

明日もお天気は優れませんが、ここ松江への台風の影響は大したことないと見えます。
あと二日となった「瀬戸本業窯 展」、まだまだたくさん良いものならんでおります。
どうぞご来店ください。

ちょっとお出かけ厳しいなという方は当店のブログやインスタグラムにたくさん載っています。
是非ご覧ください。お問い合わせも心よりお待ちしております。

「瀬戸本業窯 展」から、染付

金曜日, 10月 27th, 2017


染付柳文蕎麦猪口(径8.5cm高7cm)


染付柳文茶碗(径13cm高6cm)


染付柳文碗(径12.5cm高6cm)


ズーム

今日は染付です。
先にご紹介したものに比べるとやや露出が少ない気がしますが、ずっと続いている仕事です。

そば猪口の柳の描き手は雄介さんの奥様、真里さんです。
真里さんは売り場にも立つし、馬の目を描く職人さんのお子様の面倒を見ることもあるそうで、
瀬戸本業窯をしっかり支えていらっしゃいます。

黙々と轆轤をひく七代目半次郎の総一郎さん、その横でやはり静かに轆轤をひく雄介さん、
売店ではお母様とお客様が談笑、外では娘さんたちがキックボードで遊びながら誰かに話しかける。
瀬戸本業窯を訪ねるとそんな光景を目にします。

メディアでは作り手として雄介さんと総一郎さんがクローズアップされることが多いですが、
家族全員で仕事している感じがいつもあって、いいなぁと微笑ましく思います。


染付唐草湯呑み(径9cm高7.5cm)


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石皿鉄絵 楓 7寸、8寸 ※8寸、ご売約御礼


石皿鉄絵 柳その1 8寸 ※ご売約御礼


石皿鉄絵 柳その2 8寸


石皿鉄絵 撫子 8寸


石皿鉄絵 鯛 9寸


石皿鉄絵 楓 9寸 ※ご売約御礼


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染付松鶴文鉢(径16cm高4.5cm)


染付山水絵皿5寸(径15.5cm高3cm)


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それにしても瀬戸本業窯、いろいろな手法のものがあります。
その一つの理由として「陶土の白さ」のことを雄介さんはお客様に説明されていました。

確かにこんなに白い土はなかなかありません。
他の産地では白化粧を施してから装飾することが多いですが瀬戸の土は直接できるほどです。
昨日までにご紹介したものもすべて白化粧はしていません。
さらには肌理が細かいので絵付けもできてしまう、というわけです。

この陶土に恵まれたことが瀬戸が産地として栄えた大きな要因の一つ、と雄介さん。
日本で生産されている陶器の優に半分以上は瀬戸産という時代もあったそうです。

そんな瀬戸は良くも悪くも陶業の最先端で産業としての合理化も早かったのですが、
瀬戸本業窯はそんな中でも変わらなかったのだと思います。
これからもいい意味で変わらずに、様々な作品を作り続けて頂きたいものです。


染付行灯皿7寸(径22cm高2cm)


ズーム

明日はまた違った雰囲気の作品をご紹介いたします。
どうぞご覧ください。

「瀬戸本業窯 展」から、麦藁手・とくさ

木曜日, 10月 26th, 2017


麦藁手


太とくさ


三色麦藁手

昨日ご紹介した馬の目と同様に、麦藁手やとくさ紋も専門の職人さんが描いています。
大好きな意匠で度々仕入れていましたが、4・5年前に長く担当していた方がお亡くなりになられ、
その後はしばらく製作がストップしていました。

江戸期から今に至るまで愛され、作り続けられている意匠はなかなかありません。
なくなってしまうのかと心配しましたが次の職人をしっかり育てられました。

日本人のDNA的なものなのでしょうか、お好きなお客様がたくさんいらっしゃいます。
すぐに絶えるようなことはなくなって安心しました。


麦藁手皿(左から径11.5cm高2.5cm、径14.5cm高3cm、径19.5cm高3.5cm)


7.5寸皿(どちらも径22.5cm高5cm)


麦藁手のお皿を重ねて


太とくさのお皿も重ねて


筒湯呑(ともに径8cm高6.5cm)


麦藁手ご飯茶碗(小:径12cm高6cm、大:径13.5cm高6.5cm)


太とくさご飯茶碗(小:径12cm高6cm、大:径13.5cm高6.5cm)


三色麦藁手ご飯茶碗(小:径12cm高6cm、大:径13.5cm高6.5cm)


麦藁手片口(小:10cm×8.5cm高5.5m、大:15cm×13cm高6.5cm)


太とくさ片口(小:10cm×8.5cm高5.5m、大:15cm×13cm高6.5cm)

最初はご飯茶碗や湯呑みなどが多かったですが、
職人さんの習熟度に応じて大きなものも見られるようになってきたように思います。

昨年のSMLさんでの「咖喱と古民藝」でご一緒した際、商品としてではなく、
咖喱食堂でカレーを食べるときに使えるお皿として麦藁手の8寸ほどのお皿がありました。

それが非常に使いやすく作り手やお店の方々、お客様にも好評でした。
注文できないかすぐに相談しましたがそのお皿の線は前任の職人さんによるもので、
今の職人さんのはまだ商品として出せないとのことでした。

それが先月訪ねた際、「カレーのお皿持って行けそうですよ。」と聞いて楽しみにしていました。
7.5寸がそのサイズです。

線の感じは特に違和感なく、きれいに収まっています。
お皿としては縁の立ち上がりが効いてカレーやパスタに特に使いよいですが、
これくらいの大きさは使い勝手が広いのでいろいろと活躍してくれに違いありません。
一年待った甲斐がありました。


麦藁手鉢(径19.5cm高7cm)


太とくさ鉢(径19.5cm高7cm)


三色麦藁手鉢(径19.5cm高7cm)


麦藁手蓋物(小:径9.5cm高9cm、大:径15.5cm高12cm)


とくさ蓋物(小:径9.5cm高9cm、大:径15.5cm高12cm)

「瀬戸本業窯 展」、会期の半分を終えました。
台風のなか始まりましたがその後は落ち着いて、いいお天気が続いております。
また次の週末が怪しいですが…お足元が悪くならないうちにどうぞお出かけください。

尚、今展の出品物に関するお問い合わせへの対応は本日より始めさせて頂いております。
ほんとうに良い仕上がりのものが多いです。
インスタグラムやブログに気になるものが御座いましたらお気軽にご連絡くださいませ。

どうぞよろしくお願いいたします。