「前野直史 展」中止のお知らせ
2年おきに開催していた前野直史さんの作品展を今月18日から開催する予定でしたが、
ご存じのとおりの状況です。前野さんと協議の上、中止の決断をいたしました。
SNSでは先立ってお知らせしていましたがあらためましてこちらでもご報告申し上げます。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
今回の個展に向けて、錫釉の作品に意識的に取り組んで頂きました。
錫釉のものは前野さんとのお取引が始まる最初の仕入れの際にいくつか取らせて頂いて、
いいなぁ、好みだなぁと思ってその後も度々扱いました。
そして長年のお付き合いの中でいろいろ話を聞いたり、前野さんがご自宅で使っているお皿や鉢、
カップなどを使わせてもらったりしているうちに、もっともっと魅力を感じるようになりました。
そういう経験からこの仕事にフォーカスしご紹介できる機会でしたので、
伝える側としてのやりがいと醍醐味を強く感じていました。
こんな形で奪われてしまい心底悔しいです。
そして何より、楽しみにしてますとお声をかけてくださっていたお客様が近くにも遠くにも、
たくさんいらっしゃいました。残念でなりません。
ただこういう事態にはなりましたが諦めきれず前野さんに相談したところ、
錫釉の仕事を中心に、ある程度まとまった数の作品を預からせて頂けることになりました。
作品が到着し整理ができ次第、いつものようにこのブログとSNSで作品をご紹介して参ります。
どうぞご期待ください。
尚、この事態の影響を受けて前野さんの作陶にも遅れが生じたそうです。
作品の到着は今のところ20日が目安ですが、もう少し後になるかもしれません。
予めご了承くださいませ。
ご紹介する作品はもちろんすべて、通販対応いたします。
目に留まるものがございましたらお気軽にお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
尚、この度の決定については前野さんもコメントをお寄せくださいました。
以下に掲載させて頂きます。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::
このコロナウイルス蔓延の危機的状況の中でobjectsでの春の個展を中止にしました。たとえ経済が止まってしまうとしても先ずは誰もが感染しないように、そして誰かに感染させないようにということを最優先に、慎むべきは慎んで振る舞わなければならないと思っています。そうであれば「どうぞお越し下さい」と呼びかけることはとてもできないと考えたのです。いらないものを作っているとは思っていませんが、陶器を売ったり買ったりするよりも大切なことはたくさんあります。
前回個展の在廊日にはまた2年後の約束をして、それからは他のスケジュールも進めつつ、どんなものを作ろうかと未だかたちしていないなにものかを探し始めました。「ものが好き」同士の佐々木さんはさすがにぼくの好きそうなことをよく知っていて、それは方向性であったり、具体的な陶器のモデルであったりするのですが、いつも「こういうのはどうでしょうか」といろいろ投げかけてきて、こちらもそれをどう膨らませて具体的な陶器の姿にしてゆくかということをいつも楽しみにしていたのです。これは大変ではあってもそれ以上にやりがいと喜びのある仕事でした。今回もまたお互いに訪ねたりメールや電話であれこれと相談をしながら進めていたのですが残念なことです。様々な状況が許すうちはじっくりと陶器を作ろうと思っています。とは言っても、窯焚きは慣れた友人たちに来てもらって食事も取りながらの長時間を共に過ごす体力を奪う作業なので登窯を焚くことはしばらく出来そうにありません。工房で一人で作業する分にはなんの心配もいらないので当面は今出来ることを緩めずに進めます。
objectsの個展は今回が4度目でした。在廊は毎回2日間として、自分もそれをとても楽しみにしていました。お越しくださるたくさんの方々にお会いすることはもちろん、お店の前に続く大橋川の風に揺らぐ柳並木も、山陰の美味しい恵みも、佐々木さんの家に泊めていただいて遅くまでいろいろなものを見せてもらいながらあれこれお話しすることも、往きか帰りには松江の隣町である安来の駅前に車を停めて河井先生が生まれ育った安来の町の「120年前の今」を歩くことも、いつも松江を訪ねる楽しみでした。
今回の個展を楽しみにしてくださった方には大変申し訳無いのですが、きっとこの期間の成果をご覧いただく機会があると思います。先ずは御自身や身近な方の安全を大切にお過ごしください。
前野直史
::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Tags: 前野直史