「前野直史 展」から、土瓶
会期は終わりましたがブログ更新、土瓶のご紹介です。
ここ数年は力を入れて取り組まれていて、本展にもたくさんお送りくださいました。
画像に収めるのがいくつか旅立った後になってしまいましたが、
まだお求め頂けるものから数点掲載させて頂きます。
土瓶 灰釉筒描(12cm×16.5cm高19cm) ※ご売約御礼
初めての個展の時だったので4年くらい前になるでしょうか、
土瓶につける蔓が華奢なものしかなくなってしまった、これは困ったものだ、
と前野さんは嘆いていました。
他の作り手さんたちも同様に蔓のことに頭を悩ませているようでした。
そんな話を聞いた出雲民藝紙の紙漉き職人、山野孝弘さんが蔓の制作に興味を持ち、
すぐにかつて土瓶の蔓を製作していた松江藩籐細工の長崎誠さんに教わりに行き、
技術の習得に励んでくれました。
その頃はあちこちで職人さんが引退されたりお亡くなりになられたりが相次ぎ、
蔓が手に入らなくなることは出西窯にとっても懸念事項でした。
ただ出西窯は蔓の材料を手に入れる伝をお持ちでした。
さすがに自社で製作までは手が回らないから誰かやってくれる人はいないだろうか、
という相談を前野さんの最初の個展の半年ほど前に受けていたのです。
出西窯と山野さんにお互いのことを話したらすぐに話し合いの機会が設けられました。
今思い返しても急に歯車がかみ合ったような、不思議な巡り合わせでした。
土瓶 白丸紋小(12cm×19cm高18.5cm) ※ご売約御礼
土瓶 二重丸紋(13cm×20cm高19cm) ※ご売約御礼
本展に向けて打ち合わせを重ね、会期前日に山野さん自ら取り付けに来てくださいました。
会期初日にも来てくれて、蔓のことで3・4時間話し込んでいました。
ご紹介の土瓶のうち丸紋の4点にはすべて山野さんの蔓が付けられています。
冒頭でご紹介した灰釉と糠釉の土瓶に付いているのはおそらく30年ほど前に作られた蔓です。
古い蔓は時間が経って味わいのある飴色になっていますが、それ以外は遜色ありません。
尚、山野さんの蔓は前野さんの土瓶だけではなく、当店への入荷もありました。
ご興味ございましたらお問い合わせください。
それからつい先日、前野さんといつもお世話になっている古民芸たつのさんらが発起人となり、
「土瓶好きの会」という会が発足しました。(当店も微力ながらお手伝いさせて頂きます。)
マニアック過ぎる、それだけに熱い会になるだろうと思います。
お客様や出西窯の陶工など、当店周辺でも徐々に話題になってきてこれからが楽しみです。
「土瓶好きの会」については動きがあり次第、ブログで詳しくお伝えいたします。
ご期待ください。
2018年の「前野直史 展」、ブログはこれにて終了とさせて頂きます。
ご覧くださいましたお客様には心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
次は2年後に開催予定です。
また前野さんと何か企んで臨みたいと思います。
よろしくお願いいたします。