土瓶の蔓が入荷しました。
左から3.5寸(10cm)、4寸(12cm)。 ※どちらも紐の長さがほぼ表記サイズです。
明日と明後日はお休みですが土瓶の蔓が届きましたのでご紹介いたします。
作者は松江市八雲にある出雲民藝紙の紙漉き職人、山野孝弘さん。
本職の勤めを終えてから自宅でコツコツと製作されています。
山野さんはかつて土瓶の蔓を製作していた松江藩籐細工の長崎誠さんに作り方を教わりました。
試作を何度も長崎さんにお見せしてお墨付きを頂いたそうなので、品質はどうぞご安心ください。
いま広く流通している蔓よりもすこし太めの材料を用いて作られています。
わずかな差ですが比べると山野さんの作る蔓のほうが持ちやすいですし、佇まいも良くなります。
作り手さんと話していて、土瓶の蔓にいいのがない、という話題になることが度々ありました。
いい蔓がないから土瓶の製作をお休みしている、という作り手さんもおられました。
蔓は何でもいい訳ではなく、土瓶の使い勝手と見た目に大きく影響する重要なパーツなのです。
けれど籐細工の職人がついでにやっていたような仕事だったので、
丁寧に作られた蔓であっても安価なものが出回り始めてくるとずいぶん買い叩かれたそうです。
作る人がどんどん減っていったのも無理はありません。
山野さんの蔓の価格は3.5寸が2,160円(2,000円+税)、4寸が2,538円(2,350円+税)です。
安くはありませんが材料を吟味して一昔前のものに近い仕上がりを目指して作られているだけあって、
冒頭で申し上げたとおり使いやすく、見た目のバランスも良くなります。
そんな蔓があることを喜んでくださる、楽しんでくださる方にお渡しできますと幸いです。
可能なお客様はお使いの土瓶をお持ちになって、実物に合う蔓をお探しになられてください。
ちなみに今、店頭に並んでいる森山窯の土瓶には山野さんの蔓が採用されています。
森山さんは良い蔓が手に入らなくなってからたまにしか土瓶を作らなくなりましたが、
8月の展示会で10点近くご紹介できたのは山野さんが間に合わせてくれたからでした。
個展以降も森山さんからの注文は続いているそうです。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。発送も承ります。
山野さんの蔓を採用したいという作り手さんからのご連絡も大歓迎です。
喜んでお取り次ぎいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
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